vol.16 サンダルは大事
2014年9月01日 AM12時44分

はじめての一人旅。僕は家を出た。天気は晴れだ。一睡もできなかったので気怠くはあるが、外の空気をすって駅まで歩いていたら幾分体調が良くなってきた。
荷物はショルダーバッグを一つ下げているだけだ。それほどの重さではないので、これなら苦にならない。それより気になったのは、この旅行のために買っておいたサンダルだ。僕はビーチサンダル以外に外行きのサンダルを買ったことがなかった。でも今回の旅行は9月でまだ暑く、最終目的地が沖縄ということもあり、サンダルで通そうと考えた。ただ、ビーチサンダルではあまりにも頼りないので、ビーチサンダルよりはグレードの高いサンダルを買っておいた。
僕が選んだサンダルは、ビーチサンダルよりは底が暑く、足の甲を覆う部分も広めにできていた。値段は3千円以内だ。街で履いていてもおかしくないような無難なものだと、少なくとも僕は思った。
サンダルを買うとき随分迷って試し履きもしたのだが、家を出て早くも足先に違和感を感じた。これは後で相当痛い思いをするだろうなと嫌な予感が走る。具体的にいうとサンダルの先端に段差があり、そこに自分の指先が擦れるのだ。二三歩では気にならないが、少し距離を歩くと間違いなく気になってくる。買い物の失敗リストがまた一つ増えてしまった。
横浜駅へ到着し、熱海行きの東海道線を待った。こうして一人ホームで電車を待っている分には、いつもとやっていることは変わらない。行き先は大分違う。でも僕の気分は飛び切り晴れている訳ではない。一人なので、誰かと話すことで生じる気持ちの変化もない。淡々としている。一人旅とはこういうものなのかなと思った。
つづく